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雇用調整とは、景気の変動や業績の悪化などに伴い、過剰となった雇用を従業員の削減や労働時間の短縮で調整することを言います。
初期の段階では残業規制、新規・中途採用の停止に始まり、
状況が厳しくなると、配置転換、出向、一時帰休、希望退職者募集と進み、
最悪の場合は整理解雇に至ります。
戦う経営者にとってはなんともやりきれない話ですが、
企業には、懸命の努力にもかかわらず、雇用調整に手をつけざるを得ない場合があります。
本稿では、比較的強力な雇用調整手段である希望退職の募集、整理解雇及び有期雇用契約に係る雇止めについて述べます。
主な記述項目は以下のとおりです。
記述項目(目次) |
1-1 希望退職の募集に係る基本構想 2-1 整理解雇の4要件 3-1 雇止め可否の判断基準と判例に見る雇止め判断のポイント |
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前Ⅰ−1で検討した基本構想を基礎とし、希望退職の募集に当たり、従業員に提示する退職の条件を検討します。
この退職条件は希望退職募集の正否を左右する重要事項です。
会社の経営状態や財務状況にもよりますが、退職金の増額や給料の積み増し等、魅力ある条件を提示して退職を魅力あるものにすることが重要です。
実務的には、割増退職金をどの程度に設定するかがポイントとなります。
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中小企業A社は、経営不振のため、雇用調整のやむなきにいたり、「雇用調整実施計画」を策定しました。その骨子は、次のとおりです。
雇用調整実施計画(骨子) |
1 希望退職の募集及び有期雇用契約者の雇止め(本稿Ⅲ−2参照)により、余剰人員20名を削減する。 2 希望退職の募集が予期のごとく進展しない場合は、断固として整理解雇(本稿Ⅱ−4)に移行して、所期の人員削減目標を完遂する。 |
ここに提示する「希望退職者募集要領(一例)」は、上記「雇用調整実施計画」の骨子に基づくものです。
希望退職者募集要領(一例) |
会社は、経済のグローバル化に伴う深刻な価格競争の下、経営方針の転換、コスト削減、製造拠点の集約化等、懸命の経営努力を実施してまいりましたが、この度人員整理のやむなきにいたりました。つきましては、次のとおり希望退職の募集を行います。 1 対象社員及び募集人員 ① 対象社員 平成23年8月1日現在、当社に在籍する正社員。ただし、事後の業務運営に不可欠な者等として、会社が別に指定する社員は本制度の適用対象外とします。 ② 募集人員 10名とします。 2 募集期間及び退職日 ① 募集期間 平成23年8月11日から同月17日まで。ただし、終了期限は、応募の状況により短縮又は延長することがあります。 ② 退職日 平成23年8月31日とします。 3 退職金 ① 退職金の額 以下に示す規定退職金と特別加算金を併せ支給します。 ただし、年齢、定年までの月数は、平成23年8月31日現在の年齢又は定年までの月数とします。 A 規定退職金 退職金規定に基づく「会社都合」による支給率を適用して算出した額。 ただし、この額が100万円に満たない者については、一律100万円を支給します。 B 特別加算金 30歳未満 基本給×2ヶ月 ② 退職金支給日 平成23年9月10日とします。 4 説明会及び個別面接 ① 説明会 A 募集対象となる社員全員に対し、「希望退職募集要領」について、説明会を実施します。 B 説明会日時 平成23年8月5日15時~16時 ② 個別面接 A 「希望退職募集要領」特に退職条件について、完全にご理解をいただくため、別添の個別面接日程(略)により、個別面接を行います。 B 「本制度の適用対象外として会社が別に指定する社員」については、本面接時個別に通知します。 5 応募手続 退職を希望する者は、募集期間内に退職願を総務部長に提出してください。 6 その他 ① 退職者は、業務の引継ぎを確実に実施し、所属長の確認を受けてください。 ② 年次有給休暇の残日数は、退職日までに消化してください。ただし、未消化の残日数は、各自の平均賃金にて買い上げますので、引継ぎ等業務のある者はそちらを優先してください。 ③ 雇用保険の受給に関し、会社が交付する離職票の離職理由は「会社都合(事業の縮小に伴う人員整理のための希望退職者募集への応募)」となります。 |
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1 整理解雇とは
整理解雇は、使用者が経営不振などの経営上の理由により人員削減の手段として行うものでありますが、解雇の種類の中では「普通解雇」に属し、法律用語ではなく、裁判の判例により、浮上してきた用語です。
① 労働契約法は、解雇には「客観的に合理的な理由」と「社会通念上の相当性」を要求しておりますが、具体的な内容は明らかにしておりません。ここに、判例法理としての「整理解雇の4要件」がクローズ・アップされる所以があります。
② 労働基準法には解雇を巡るいくつかの規定がありますが、ここでは「解雇事由の明示(従業員から求めがある場合、遅滞なく証明書を交付)」「就業規則への解雇規定の明確化(絶対的必要記載事項)」を要求している点に着目する必要があります。
① 余剰人員を強制的かつ確実に削減できる。
② 訴訟に弱いなど、法的リスクが大きい。
① 整理解雇は、訴訟になった場合の企業側の勝率が低く、しかも膨大な手間がかかります。このため、希望退職の募集が不調に終わった場合など、やむを得ない場合に限り検討すべきものと考えます。
② 就業規則や雇用契約書などに解雇に関する定めをすることが必要です。
※ 貴社の就業規則に、解雇を行う場合として「事業の縮小その他会社のやむを得ない事由がある場合で……」「天災地変その他やむを得ない事由により、事業の継続が不可能……」などといった解雇規定があるか確認しておきましょう。
③ 整理解雇を行う場合には、整理解雇の4要件を確実に充足することが望まれます。
※ 最近の裁判例ではこの「整理解雇の4要件」は、やや緩やかに取り扱われる傾向があるともいわれておりますが、訴訟になった場合の経営者側の勝率はかなり低く、実務上はこの4要件を重視して対応せざるをえないと考えます。
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以前は、この「整理解雇の4要件」全てを満たすことが求められましたが、最近は事情によっては4要件を緩和する判決が出ていることが注目されます。ただし、このような傾向なり考え方を実務に取り入れるのは、まだ時期尚早といえましょう。
繰り返しになりますが、実務においては当面、整理解雇の4要件を厳格に守るようお勧めします。
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会社の現状分析、再建計画を基礎とし、解雇人数、対象者の範囲、希望退職の募集など解雇回避努力の成果等を考慮し、最終的に整理解雇する解雇人員数、解雇対象者の範囲、被解雇者選定基準、解雇日などを決定します。
② 解雇による経済的打撃が比較的小さい者を優先する。
③ 法により解雇を禁止されている者は、対象から除く。
(業務災害・産前産後の休業者及びその後30日以内の者)
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解雇の基本構想、解雇の条件(退職金等)を決定した後、解雇の実施を発表します。
発表文の一例は次のとおりです。
整理解雇発表文の一例 |
平成23年8月20日 社員各位 取締役社長 大山太郎 整理解雇の実施について(お知らせ) 会社は、経済のグローバル化に伴う深刻な価格競争の下、経営方針の転換、コスト削減、製造拠点の集約化等、懸命の経営努力を実施してまいりましたが、なお、苦境を脱せない状況です。 このため、人員整理のやむなきに至り、有期契約社員の雇止め、希望退職の募集等を実施してまいりましたが、所期の人員を削減するには至りませんでした。 つきましては、下記のとおり整理解雇を実施することといたします。 ここに、社員各位のご理解をお願いいたします。 記 1 解雇人員 5人 2 解雇対象者 平成23年9月30日現在において、50歳以上の者。ただし、業務上特に必要と認める者(会社の基幹業務に従事し、勤務成績が良好な者)を除く。 3 解雇日 平成23年9月30日 4 退職金 ① 退職金の額退職金規定の基づく「会社都合」による支給率を乗じて算出した額に、基本給の3か月分相当額を上積み支給する。 ② 退職金の支払い解雇日当日、本人が指定する銀行口座に振り込む。 5 その他 ① 退職者は、業務の引継ぎを確実に実施して、所属長の確認を受けてください。 ② 年次有給休暇の残日数は、退職日までに消化してください。ただし、未消化の残日数は、各自の平均賃金で買い上げます。 ③ 雇用保険の受給に関し、会社が交付する離職票の離職理由は「会社都合」となります。 以 上 |
2 解雇人員の人選
解雇者の選定基準に基づき、解雇者を具体的に絞り込みます。選定基準に基づく解雇候補者が解雇予定者数以上いるときは、絞込みの理由を明確にしておくことが重要です。
3 解雇の予告
解雇日の30日前までに、解雇を予告します。30日前までに予告できないときは、解雇予告手当を支払います。
解雇予告は、口頭でも結構ですが、確実を期するためには書面で予告するのがよいでしょう。
4 解雇辞令の交付
解雇日に解雇者に解雇辞令を交付します。これにより、会社と被解雇者の雇用契約は解消されます。
解雇辞令を手渡すことができない場合は、書留郵便にて自宅に送付するようお勧めします。
解雇辞令の一例は次のとおりです。
解雇辞令の一例 |
平成23年9月30日 山川次郎 殿 埼玉工業株式会社 取締役社長 大川太郎 解雇辞令 業績不振のため、貴殿を就業規則第○条×号の解雇基準に基づき、平成23年9月30日限り解雇致します。 以 上 |
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有期雇用契約が反復更新されるような場合には、契約期間の意義は徐々に薄れ、労働者に更新期待権が発生します。この更新期待権に合理性が認められると解雇権濫用の法理が類推適用され、契約期間の満了のみを理由とした雇止めができなくなり、解雇に相当する理由がなければ雇止めができなくなります。
原則どおり契約期間の満了によって雇用契約が当然に終了し、雇止めの効力が認められます。
<更新期待権が認められない事案の特徴>
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法令の定めではありませんが、実務としては「有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準」に基づき、以下のとおり実施することが望ましいと考えます。
1 雇止めの予告
以下の場合、契約期間満了の30日前までに契約を更新しないことを予告します。
① 有期労働契約が3回以上更新されている場合
② 1年以下の契約期間の労働契約が更新又は反復更新され、最初に労働契約を締結してから継続して通算1年を超える場合
③ 1年を超える契約期間の労働契約を締結している場合
雇止め通知書の一例 |
平成23年8月31日 大宮工場 大山花子 殿 埼玉工業株式会社 取締役社長 大川太郎 雇止め通知書 貴殿と平成23年3月25日に交わしました雇用契約書に記載のとおり平成23年9月30日をもちまして雇用期間満了とし、下記理由により、その後の契約更新を行わないことをお知らせいたします。 なお、ご不明の点などございましたら、人事担当○○までお問合せください。 記 契約を更新しない理由 事業縮小のため(具体的には、経済のグローバル化に伴う厳しい価格競争の下、深刻な経営不振に陥り、この度製造部門を縮小するのやむなきに至ったため) |
2 雇止めの理由の明示
雇止めの予告後又は雇止め後に労働者が雇止めの理由について証明書を請求する場合、遅滞なく証明書を交付します。
有期労働契約を更新しない理由に関する証明書の一例 |
平成23年9月5日 大宮工場 大山花子 殿 埼玉工業株式会社 取締役社長 大川太郎 有期労働契約を更新しない理由に関する証明書 当社が、平成23年8月31日付けで有期労働契約を更新しない旨、貴殿に通知いたしましたが、更新しない理由は下記のとおりであることを証明します。 記 契約を更新しない理由 事業縮小のため(具体的には、経済のグローバル化に伴う厳しい価格競争の下、深刻な経営不振に陥り、この度製造部門を縮小するのやむなきに至ったため) |
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