労働(雇用)契約のポイント総合案内

 

経営者の皆さん、皆さんは労働(雇用)契約の締結に当たり、どのようなことに留意していらっしゃいますか。

社労士として活動していますと、労働(雇用)契約の重要性に気づいていらっしゃらないのではないかと危惧することが少なくありません。

例えば、「雇用契約書は、インターネットで拾ったものをそのまま利用する」「就業規則も他社のものをそのまま拝借する」「従業員との間でトラブルが生起しても労働(雇用)契約の見直しをせず、声を荒げるのみ」といった会社を時どき見かけます。

しっかりした労働(雇用)契約を締結しておきさえすれば、と悔やまれることも少なくありません。

そこで、この度、『労働(雇用)契約のポイント』と して、私見をまとめてみました。 

労働(雇用)契約のポイント目次及び姉妹ページ

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Ⅰ 労働(雇用)契約の基礎知識

1 労働(雇用)契約の成立

労働者が使用者に使用されて労働し、使用者がこれに対して賃金を支払うことについて労働者及び使用者が合意することによって成立します(労働契約法6条)。よって、労働(雇用)契約は口頭でも成立します。


2 書面による労働(雇用)契約の締結の必要性

労働基準法は、明示すべき労働条件を「必ず書面によらなければならないもの」と「必ずしも書面によることを必要としないもの」に分けて示していますが、労基法の要求は、労働条件通知書の交付であり、労働(雇用)契約書による契約の締結までは要求しておりません。

ここに次のようなトラブルが生起する可能性があります。即ち、

① 労使間にもめごとが起きたとき、口頭で説明した事項の記録が残っていません。よって「入社時に説明した」「いや聞いていない」といった「言った。言わない。」の論争がおこります。

② 労働条件通知書は、一般に使用者側が捺印するだけですから、従業員が「もらっていない」といえば、ややこしいことになります。この点、労働(雇用)契約書には労使双方が捺印しますから、このようなややこしいことは少なくなります。

以上の2点から、「労働(雇用)契約は書面によるべし」「後々トラブルとなりそうなことは、極力文書化すべし」という、至極当然な結論が見えてきます。

3 労働(雇用)契約を構成するアイテム

それでは、労働(雇用)契約の内容は、すべて労働(雇用)契約書に記述するのでしょうか。

この点、「合理的な労働条件の制定」「労働者への周知」など一定の要件はありますが、労働契約法第7条は「労働契約の内容は、就業業規則で定める労働条件による」と述べ、就業規則の定めが労働(雇用)契約の内容であることを明確にしています。

それでは、就業規則さえあれば労働(雇用)契約書はいらないのでしょうか。

就業規則は、全従業員を対象として統一的・画一的に規定するものであるのに対し、労働(雇用)契約は会社と個々の従業員との間の契約である点に役割の相違があります。

賃金も就業の場所も従業員ごとに異なります。

Aさんは総合職だがBさん限定社員であるとか、Aさんには転勤があるがBさんには転勤がないなどということもあります。

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Ⅱ 労働(雇用)契約書の書式

企業の中には、インターネットなどに公開されている労働(雇用)契約書の雛形をそのまま使用されているところもあろうかと存じます。

公的機関などが公開している雛形であれば、一般に法規に抵触することもなく便利に使用できるので、雛形の使用については特に異存ありません。


ただし、雛形をそのまま利用するのは考えものです。必ず、御社の事情・要求に合致した労働(雇用)契約書にカスタマイズすることを忘れないでください。

雛形は法が要求する項目は抜けなく取り上げられており、その点において問題はないのですが、会社として記述しておくことが望ましい項目が欠落していることが少なくありません。

それが後々のトラブルの種になることも少なくありません。

一例をあげてみましょう。

① 試用期間は明示しているが、試用期間中の解雇(本採用拒否)要件の記述が不十分なため、現実問題として解雇できなかったり、又はトラブルになったりすることがある。

② 成績不良の場合の賃金減額や解雇に関する記述が不十分なため、能力不足あるいは適性のない従業員の解雇や処遇の変更ができない。

③ 面接時に健康状態に疑問があることを見抜けなかったため、ある社員を本採用してしまったが、解雇できないばかりか休職規定の不備により採用間もない社員に休職を許可せざるを得なくなった。

④ 従業員が、故意または重大な過失により会社に損害を与えたが、損害賠償についての記述がなく、その請求に苦慮することとなった。

⑤ 雇止め契約更新の有無契約更新の判断基準 に関する記述が不十分で、雇用契約の更新を巡ってトラブルになった。


事例は枚挙にいとまがありません。

労働(雇用)契約書は雛形に安易に依存することなく、会社の特性・事情を十分に考慮して、問題化しそうなことは漏れなく記述するようにしたいものです。

どうか雛形への過度の依存を廃し、自社に適合した労働(雇用)契約書を作成されるようお勧めいたします。また、契約書の内容は、正社員、契約社員、パートタイマーなど雇用形態などによっても異なることにご留意ください。

 

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Ⅲ 労働(雇用)契約書と就業規則の関係

契約内容のすべてを労働(雇用)契約書に記述しなければならないといえばそういうわけではありません。

労働(雇用)契約書に何から何まで書こうとすると、おそらく労働(雇用)契約書内容は数十ページにも及ぶ膨大なものなるでしょう。

そんなことはできないから、労働(雇用)契約書には就業規則への参照を示すのみにとどめることも少なくありません。

しっかりした就業規則を作っておくことがとりもなおさず必要な所以です。

また、就業規則に記述してある事項でも、重要な事項についてはそのアウトラインと就業規則への参照を労働(雇用)契約書にも重複記述するといった丁寧さが求められます。

曰く「労働(雇用)契約書就業規則労働(雇用)契約の門柱(二本柱)であり、相互に補完しあうものだ」ということをよろしくご理解ください。


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Ⅳ 雇用のミスマッチと労働(雇用)契約

 

優秀な人材だと思って採用したのに期待をはるかに下回るという場合の対応について、一例を提示します。

ただし、記述例は会社の立場を有利に導くための方策であり、会社側の主張がすべてまかり通ることを保証するものではありません。

「客観的合理性」「社会通念上の相当性」が検証されるなど、事後的に必要な検討が行われるものだということを、あらかじめご承知おきください。


1 試用期間中の解雇(本採用拒否)

労働(雇用)契約書に「試用期間」及び「本採用拒否の要件」等を明記します。

ただし、本採用拒否の要件をすべて記述することが適当でない場合は、就業規則の参照条項を示すなどの工夫をします。

例えば、「試用期間:3か月」「(試用期間中の従業員が)就業規則第○条(本採用拒否)に該当し、従業員として不適当と認めた場合、会社は本採用を行わない。」などと記述すればよいでしょう。

この場合、就業規則に詳しい内容が記述されていることが要求されることは言うまでもありません。

また、試用期間中の休職などはないのが常識です。妙なことにならないよう、試用期間中の者、採用後○年未満の者については、休職を認めないよう就業規則を見直すことも大切です。

最近は、健康だというので採用してみたら、健康上の理由で働けないなどといった事例が少なくありません。


2 本採用後の格付け・賃金の見直し及び解雇

ここでは、特に中途採用を意識して記述します。

「経験・能力があるというから採用したのに何もできない」「期待した成果が上がらないし、改善の見込みもない」「契約時に約束した給与を支払っていたのでは、会社がやっていけない」などといったことはありませんか。

本採用後のミスマッチによる解雇・降格というのは、本来好ましいことではありません。

できる限り採用面接時あるいは試用期間中に見抜くべきですが、試用期間中にはその人の実力や人格を見抜くことができず、本採用後にミスマッチが表面化することがあります。

このような場合に備えて、次のように手を打っておくことを進めします。

① 就業規則に解雇要件の1つとして     「地位、能力又は適格性に欠ける場合の解雇」を規定するとともに人事規定等に「採用○か月後に格付け(資格等級)及び賃金の見直し」行う旨規定する。

② 労働(雇用)契約書にも「解雇要件に該当する場合の解雇」並びに「人事格付けや賃金の見直し」について記述する。


3 最低限の成果を上げ得ない場合

営業職やタクシー運転者などのように一定の売り上げを確保してもらわないと経営が成り立たない、あるいは雇用を継続できないという場合もあるでしょう。

一例をあげれば次のように規定が必要ではないでしょうか。

ただし、書いておけば何でもいいというものではありません。「客観的合理性」「社会通念上の相当性」にはくれぐれも注意してください。

例;「売上高が月額○万円を下回った場合、基本給を△万円減額する」

「特別に配慮すべき理由なく、売上高が月額○万円を△か月連続で下回った場合、30日前に通知した上で雇用契約を将来に向かって解除する」

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