「改正労働者派遣法への対応」序説

平成24年の法改正では、法律の名称が「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律」から「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律」に変わるなど、派遣労働者の雇用の安定を図ることの重要性をより強く認識させるものとなりました。

一方、「登録型派遣・製造業務派遣の原則禁止」が、国会審議の過程で削除され、今後の検討課題とされるなど、一定の修正が加えられました。

とは言え、事業者としては改正派遣法に的確に対応することが必要です。

本稿では、今回の改正への対応を次のとおり整理しました。

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Ⅰ 労働者派遣法改正点の概要

平成24年の改正を整理すると次のようになりましょう。

1 派遣の禁止・制限

①  日雇い派遣の原則禁止

日々又は30日以内雇用者の派遣が原則禁止された。

例外となるのは、次のとおりである。

・ 政令26業務(専門的業務等)のうち18業務

・ 60歳以上の者、昼間学生

・ 主たる生計者以外又は派遣は副業の者(世帯又は自己の収入が500万円以上)

② グループ企業内派遣を80%以下に制限

③ 離職後1年以内の労働者の離職前事業者への派遣禁止

例外は、60歳以上の定年退職者(継続雇用後の退職を含む)のみ 

 

2 派遣労働者の待遇改善

① 派遣元に通算1年上雇用実績のある派遣労働者の無期雇用化(努力義務)

(無期雇用の派遣労働者・通常の労働者、紹介予定派遣、

又は無期雇用化のための教育訓練)

② 派遣先の同種業務労働者との均衡を考慮した

賃金設定・教育訓練・福利厚生(努力義務)

③ マージン率等の公開(義務)

④ 待遇に関する説明・派遣料金の明示(義務)

⑤ 派遣契約の中途解約時の派遣先の義務

就業機会の確保、休業手当の費用負担等

 

3 違法派遣への対処

① 労働契約の申し込みみなし制度(H21年10月1日施行)

・ 派遣先が下記の違法派遣であることを承知の上で受け入れ続ける場合、派遣先が労働契約の申し込みをしたものとみなす(違法派遣だと知らないことに過失がない場合を除く)。

・ 違法派遣終了から1年間は、労働契約の申し込みを撤回できない。

<対象となる違法派遣>

・ 禁止業務への派遣受け入れ

・ 無許可・無届の派遣元からの派遣受け入れ

・ 期間制限を超えての派遣受け入れ

・ 偽装派遣

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Ⅱ 法改正が及ぼす影響と対応策

1 日雇い派遣の禁止

日雇い派遣労働者として確保できる労働者は、60歳以上の者及び500万円以上の収入のある配偶者の被扶養者などに限定されよう。

よって、派遣元としては、日雇い派遣労働者の確保が制限され、この面において経営が圧迫されるらろう。

また、派遣先が、一時的な繁忙により人員の確保を必要とする場合、派遣労働者の確保が制限されることから、パートタイマーなど非正規労働者の計画的な募集などにより、労働力を確保する必要がある。

2 派遣労働者の待遇改善

派遣労働者の無期雇用化や派遣先労働者の均衡を考慮した賃金改善など、直接的な待遇改善は、努力義務にとどまっているものの、間接的な圧力となって派遣元のみならず、派遣先にも少なからず影響を及ぼすこととなろう。

より深刻なのは、マージン率等の開示義務は、派遣労働者による有利な派遣元・派遣先の選択を促し、派遣料金の高騰につながるのみならず、経営力の弱い中小の派遣元企業の経営に大きな影響を及ぼす可能性がある。

派遣元の対策として、経営の効率化を図るほか、マージン率の高い派遣に経営資源を集中し、あるいは派遣先の労務管理を受託するなど多角化を行うなどのほか、特段の方策を見出すのは困難と思われる。

一方、派遣先においても派遣労働者を有意な労働力として活用するためには、派遣料金の一定程度の引き上げに協力し、あるいは派遣先自らの努力により、派遣労働者の賃金水準、教育訓練や福利厚生などの自社社員との均衡待遇に配慮し、派遣労働者の貢献意欲を刺激し、派遣労働者を有効に活用する努力も必要となろう。そうすることにより、法改正によって上昇した派遣料金を上回る派遣労働者の貢献を引き出し、費用対効果の改善につなげる努力が必要であると考えられる。

なお、国策に協力する者には、それなりの見返りがあります。派遣先としては、派遣労働者を自社の社員として直接雇用し、「派遣労働者雇用安定化特別奨励金」(中小企業の場合、1人当たり100万円)の受給につなげるのもお勧めである。

3 違法派遣への対処

「労働契約の申し込みみなし制度」の施行は、3年後であるが、派遣先企業にとってこの制度の影響は看過できないところである。

無用な労働紛争の火種を残さないよう、派遣労働者が行っている業務の分析を行い、適切な派遣契約が運用されているかを早期に確認しましょう。

特に、以下に注意してください。

① 禁止業務への派遣受け入れ……建設業務、港湾運送業務、

警備業務、病院等における医療関係業務(一部を除く)

② 無許可・無届の派遣元からの派遣受け入れ

③ 期間制限を超えての派遣受け入れ

 ……派遣可能期間(派遣受け入れ期間制限抵触日)

及び政令26業務の拡大解釈

④ 偽装派遣……請負契約と派遣労働の混同

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Ⅲ 改正派遣法お勧め対応策

楠瀬労務管理オフィスでは、次のような改正派遣法対応策をお勧めしております。

1 派遣社員の均衡待遇対策

派遣社員の均衡待遇対策は、本来派遣元が行うべき対策です。

しかしながら、派遣先としても派遣社員の能力を最大限に発揮させる対策が必要です。

「どうせ派遣だから、ソコソコやっておけばいい」派遣社員がこんな態度で仕事に臨むよりも、

「この会社は、私たち(派遣社員)のこともチャンと考えてくれる」と協力姿勢を導き出すことが派遣社員の管理の秘訣です。

世間相場程度の費用で派遣社員の力をいかんなく発揮させる優れものの派遣法対策です。

「相場以上のお金をかけない派遣社員の均衡待遇対策 」 → 詳しくはこちら

このようにして、育てた協力的な社員を自社の社員として雇えたら、事項でお勧めの「派遣労働者雇用安定化特別奨励金」の受給にもつながり、一石二鳥です。

2 派遣社員を直接雇用 ⇒ 火種を残さぬ派遣法対策&助成金をGet!

派遣先企業が、派遣を巡るトラブルの火種を残さないためには、「日雇い派遣」「派遣可能期間厳守」「労働契約の申し込みみなし制度」などへの対応が重要です。

これらへの対応は、派遣社員を自社の社員として直接雇用することによって、容易に解決できます。

もともと、リーマンショック以来、派遣は世間の批判を受けて「30日以内の派遣禁止」「派遣可能期間の制限」などが厳しく、使い勝手の悪いものに変わりつつあります。

「登録型派遣・製造業務派遣」の禁止なども、今後改めて検討されることでしょう。

しかも、派遣労働者の正規直接雇用によって、「正規雇用等円環コース/キャリアアップ助成金」(中小企業の場合、一人当たり60万円)の受給につながります。

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