■ 『社労士のお値段』の記述項目

社労士のお値段すなわち社労士に支払い報酬について私案を提示します。

 

 

記述内容(目次)は、下表のとおりです。

 

 

記述項目(目次)

1 社労使の報酬をめぐる疑問と疑心暗鬼

2 社労士の報酬日額

3 就業規則30万円は高いか?

4 助成金申請代行のお値段

5 顧問契約のお値段

1 社労士の報酬をめぐる疑問と疑心暗鬼

社会保険労務士に就業規則を作ってもらおうと思うが、いくらが適当か?

 

社会保険労務士に助成金申請の代行を頼みたいが、成功報酬が高すぎるのではないか? 

社会保険労務士と顧問契約を結ぼうと思うが、いくらが適当か?

企業様が、当然お悩みになる問題でしょう。

 

そこでインターネットであちこちの社労士事務所の料金表などを検索して、大体の相場を調べ、そして安い社労士を探すでしょう。その上、面談でできるだけ値切って、安く契約しようとします。

 

しかし、「安い社労士を探し出したが、果たしてこの社労士で大丈夫だろうか?」「少し値切りすぎたかな?この値段で期待しただけの成果物を納入してくれるだろうか?」と心配になってきます。

 

一方、安く引き受けた社労士は、「どこで省力化しようか。」「何か別名目の報酬(手数料)を請求できないか。」などと考えるかもしれません。

 

こんなことでは、いい仕事ができる訳がないし、双方ともに安心感も満足感も得られないでしょう。そこで社労士の報酬について、粗い計算をしてみたいとおもいます。

 

 

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2 社労士の報酬日額

社労士の平均年収をインターネットで調べてみました。色々のデータがあって決め手はありませんが、500万円〜700万円位と見られます。

 

よって、ここでは平均的な社労士が1年間に創造する価値(稼ぎ)は、600万円であると仮置きしてみましょう。そうすると、社労士の報酬日額は、約23,000円/日となります。

6,000,000円/年÷261日=23,000円/日 

 ∵ 年間の所定労働日数:261日

   

1年:約52週、休日:2日/週

よって、所定労働日数=365日−52週×2日/週=261日

 

社労士の報酬日額23,000円は、高いと思われる方も多いと思われますが、それは月給を月平均の所定労働日数で割って給与日額を出しているからではないでしょうか。 社労士には、ボーナスがありません。ボーナス分も考慮して報酬日額を算定しなければなりません。

 

社労士をサラリーマンと比較してみましょう。そうすると、固定給30万円/月残業2時間/日(限度時間よりやや多いが、ご勘弁を)、ボーナス2ヶ月分×2回のサラリーマンとほぼ同じ収入となります。

 

これを粗い計算で証明してみましょう。

 

計           算

年  収 

 固定給 300,000円×12ヶ月=3,600,000円  3,600,000円
 残業代

3,600,000円÷261日÷8時間×1.25=2,155円/時間

2,155円/時間×2時間/日×261日=1,124,910円

※1 年間の所定労働日数:261日

   1年:約52週、休日:2日/週

   よって、所定労働日数=365日−52週×2日=261日

 2 時間外労働の割増率:25%

 1,120,000円
 ボーナス  300,000円×2ヶ月×2回=1,200,000円  1,200,000円
 合  計    5,920,000円

 

ここで得られた結論は、

『平均的な社労士の報酬;日額23,000円(残業代込み)程度 、

これは、固定給30万円/月のサラリーマンとほぼ同等である。』ということであります

 

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3 就業規則30万円は高いか?
企業様が、就業規則の新規作成を行う場合、一般に20万円〜30万円程度は請求されると思います。大方の企業様のお考えは、『元手がかかるわけでなし、チョコチョコと規則を紙に書くだけ』なのに高すぎるとお思いでしょう。一般に日本では、サービスに対する評価は低いのです。

 

また、就業規則は、社会保険労務士の能力によって出来不出来の差が大きくなりやすい商品とも言えましょう。よって、就業規則のお値段を労務費基準で検討するのは、必ずしも妥当ではないかもしれません。しかし優秀な社労士は、より高額の代金を請求するでしょうから、ここは、平均的な社労士と割り切って、敢えて労務費基準で就業規則の代金を算定してみたいと存じます。

 

それでは、粗い見積もり・算定を実施して、参考までに就業規則のお値段をはじいてみたいと思います。

 

1 就業規則策定の工程表(一例) 

算定に当たり、私どもが考える工程表を提示いたしますが、工程表は顧客企業の要求、就業規則そのものの精緻さ・検討の深さ、社労士の能力などによって、かなり異なるものと思われます。ここでは、楠瀬労務管理オフィスが多くの企業様にお勧めしている危機管理型の就業規則を作成する場合を例にとりたいと思います。

皆様の企業が検討される場合は、社労士に工程表の提出を求められればよいと思います。

 

私どもがお示しする工程表は、下表の通りです。

 就業規則工程表.jpg

※ #1〜#3審議は、一次案を3回に分けて審議しようというものです。

 就業規則の全条項を1回で審議しようとしても緊張感をもって審議を尽くす

 のは困難であるとの考えに基づくものです。

  最終審議は、二次案を最終的に確認する趣旨です。 

 

2 工数の見積もり

 

 作業内容

工  数    

 備       考

 1 ヒアリング   7M/H  #1:4時間、#2:3時間
 2 一次案作成  30M/H  約3日 
 3 #1〜最終審議  24M/H 各回6時間を予定
 4 二次案作成  22M/H  審議ごと修正、6時間×2回、10時間×1回 
 5 規則の完成  15M/H  最終審議後、修正&全般再見直し 
 6 意見書等調整・提出  15M/H   
 7  説明会  13M/H  説明会:約3時間、準備:1日 

合      計 

126M/H   126M/H:約13日(1日10時間稼動)
 ※ やや粗い見積もりである。ご意見のある方は、それぞれでお見積もり願いたい。

 

3 工   賃

23,000円/日×13日=299,000円

※ 社労士報酬の日額23,000円/日は、社労士の年収を600万円(残業代込み)として算出しました。社労士には、ボーナスがないのでこれくらいになります。

詳しくは、こちら → 社労士の報酬日額

 

4 評   価 

やはり、就業規則の作成には、30万円程度はかかると考えますが、いかがでしょうか?

 

では、30万円以上でなければ社労士は、作成を引き受けないのでしょうか?実際には多くの社労士が値引きしていると思われます。

 

それは、就業規則の作成を機会に会社との結びつきが強まり、信頼関係を築ければ、新たな受注が期待できるからです。最初の1回は我慢するのです。

 

では、いくらくらいまで値引き要求できるでしょうか?それは話し合ってください。 ただし、この程度はかかるのだということをご理解いただいたうえで……。

 

当オフィスは、このあたりの事情を考慮して、最初から約半額に値引いています。このクラスの就業規則であれば、約15万円で受注します。

 

また、すでに顧問契約を結んでいる会社からのご注文の場合、その会社の内部事情が比較的よくわかっているので、作成・審議の時間を節約できます。その意味でも安くお受けしております

 

 

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4 助成金の申請代行のお値段

「助成金は割が悪いから積極的にはやらない」という社労士、

「書類を作って申請するだけで、

助成金受給額の20%〜30%の報酬は高すぎる

という事業主

「割が悪い」のか、「高すぎる」のか検証してみた。


1 助成金申請代行業務の内容

 最初に現在最も人気があるキャリアアップ助成金/正社員化コースを例にとって、代行業務の内容を見てみよう。

 ※ キャリアアップ助成金/正社員化コースとは、

 「1年とか○ケ月とか期間を定めて雇った有期契約社員を、後日正社員にしたら原則57万円の助成金が出る」というもの。

 @ キャリアアップ助成金の受給要件等の概要を事業主に説明する。

具体的には、

 ・ 変更、改廃の多い助成金の内容・受給要件把握しておく。

 ・ 事業主と面談して会社の実情を把握し、受給できそうな助成金に当たりをつける。

 ・ 重要なことを取捨選択して説明する(全て説明しようとしても無理)。

 A キャリアアップ計画書を作成、承認を受けて、労働局に提出する。

B 就業規則を助成金の受給要件に適合するよう修正し、承認を受けて労働基準監督署に届け出る。

・ 就業規則がなければ、新規作成(別料金)。

・ 専門知識がなければ、簡単には修正できない。

C 雇用契約書又は労働条件通知書を作成又は手直しする。

・ 採用時(有期契約時)及び正社員転換時に作成。

・ 事業主任せでは、受給要件をクリアできないことが多く、社労士による作成又は手直しが必要。

・ 正社員転換の時期を間違えたり、解雇など受給要件に反することがないよう、継続指導が必要。

D 1年間にわたり、毎月の労働時間の集計賃金計算定帳簿の作成を指導又は代行する。

・ 正社員転換前6ヶ月間、転換後6ヶ月間の出勤簿、賃金台帳が必要。

・ 出勤簿の労働時間の計算や賃金台帳の賃金計算は、法定どおり正確でなければならない。

・ 教えても正しい計算ができない場合が多く、1年間にわたり労働時間の集計や賃金計算を代行することが多い(大変な労力が必要)。

E 受給要件に反することがないよう継続指導

・ 正社員転換の時期を間違えたり、解雇など受給要件に反することがないよう継続指導

・ 助成金の請求時期を間違えないよう継続的に指導(間違えると受給できない)

・ これが結構大変、受給要件に反して請求できないときも「そんなことは聞いていない」と講義を受けることも多い。

(現実には全部を説明することは内容が多過ぎて困難、勢い重要事項に限定して説明。)

(説明したことでも理解不十分だったり、忘れていたりすることもある。)

(結節時には、相談・打合せをするよう要請するが、必ずしも守られない。)

E 助成金の請求書を作成して、労働局に提出・説明する。

F 労働局からの問い合わせに説明・回答する。

(労働局からの問い合わせは、全て提出代行した社労士に入る)


2 社労士の受け取る報酬

助成金受給額の20%〜30%が多い。
本コースの場合、11.4万円〜17.1万円(助成金受給額:57万円として算定)

<評価>

@ 社労士としてみれば、助成金はやはり負荷が大きい

A 1年半(申請後、受給まで約6ヶ月かかる)にわたりフォローして、11万円では少々割が悪い。

最低でも30%は頂きたい。

ただし、顧問契約先ならば、日常的に接しているので、20%でもやれると思います。

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5 顧問契約報酬

1 顧問契約の特性

 

(1) 顧問契約はなぜ必要か?

大きな会社では、社内に人事部や労務部など人事・労務管理の専門部門を保有し、専門的な人材を抱えて業務を処理しています。

 

ところが、小さな会社では、労務管理部門を抱えるだけのゆとりがありません。抱えたとしてもそれに見合うだけの仕事量がなく、費用対効果の面で問題が生じます。

 

ところが、小さな会社といえども人を雇用する以上、法の定め(要求)にかなった人事・労務管理の仕事が存在します。ここに人事・労務の専門知識を有する社会保険労務士と顧問契約を結ぶ意義が生じてまいります。

(2) 顧問の社労士はいったい何をしてくれるか?

顧問契約による業務の内訳は、社労士によって多少異なるところがあります。また、業務内容の組み合わせを異にするいくつかの契約パターンを持っている社労士もいます。社労士に何を期待し、どのような契約を締結するかは、社労士とよく話し合えばよいでしょう。

 

それよりも問題なのは、社労士に何を期待するか(社労士が何をしてくれるか)を明確にしないまま、契約を結んでいることではないでしょうか?

 

会社側の要求を明確にして、『顧問契約内容を見える化』し、納得のいく顧問契約を締結してください。

2 顧問契約の内容

それでは、顧問契約の報酬を検証するため、顧問契約内容の一例を提示してみましょう。

ごく日常的に生起する業務は、顧問契約の範囲内に含み、その他の業務特に改めて作業力を必要とする業務は範囲外業務としてあります。

(1) 顧問契約範囲内業務

労働法・労働社会関係法令に基づく 以下の業務
1 労働関係法令に関する事項 
@ 労務管理その他の労働に関する相談・指導   

A

社内規定の作成・運用に関する相談・指導   

B

求人に関する相談・指導・求人登録手続   

C

各種労使協定書の作成・届出  

D

労働契約書のチェック・作成指導  

E

行政による調査の相談  
2 労働・社会保険に関する事項

@

社会・労働保険に関する相談・指導・手続  (2)の範囲外業務を除く  

A

労災保険特別加入手続  

B

労災保険給付に関する手続 第三者行為災害届を除く 

C

雇用保険適用・給付手続   

D

社会保険適用・給付手続  (2)の範囲外業務を除く

E

行政による調査の相談   

F

助成金に関する情報提供  
3 その他の相談等 

(2) 顧問契約範囲外業務

1 労働関係法令に関する事項 
@ 就業規則その他の規定の作成・届出  人事・評価制度、社内書式を含む 
各種契約書作成   
各種許可申請   
行政による調査の立会い、事後対応   
2 労働・社会保険に関する事項 
労働保険新規適用・雇用保険適用事業所設置   
労働保険料申告   
労働保険事務組合加入手続   
労災保険第三者行為災害届   
社会保険新規適用   
社会保険算定基礎届・賞与支払届   
健康保険組合編入手続   
G 助成金申請手続   
行政による調査の立会い、事後対応   
3 その他上絹準ずる業務 

3 顧問契約料

顧問契約料は、人員(事業主+役員+従業員)数で定めている社労士が多いようです。料金は、社労士により異なりますが、概ね下表に例示(抜粋)した程度と見てよいでしょう。

 

なお、下表の相当社労士数は、報酬額が年収600万円(月収50万円)の社労士何人分に相当するかを表したものです。

人  員  数  5〜9人  10〜19人  30〜49人  79〜99人  100〜149人 
報 酬 月 額  30,000円  40,000円  60,000円  100,000円  130,000円 
相当社労士数   0.06人  0.08人 0.12人   0.2人  0.26人

 

4 評   価

顧問契約料が、費用対効果の観点から見てペイするかどうかは、やはり経営者の価値観に依存する問題です。

 

言わば社外人事部を必要とする小さな会社が、0.1人〜0.2人分程度の人件費(前記の検討では、年収500万円の社労士は、固定給30万円の正社員の収入とほぼ同じ)で、社外人事部を持てるなら、安いと考えますがいかがでしょうか?

 

ただし、社外人事部はやはり社外にあるのであって、日常の勤怠管理などどうしても会社でやらなければならない業務は残ります。

 

顧問料よりも社会保険労務士に何を期待するかを明確にして、顧問契約を『見える化』することが重要であると考えます。

 

 

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