『残業のルールと管理』総合案内


残業をめぐる法規制、サービス残業などをめぐる労使トラブル、不要不急の残業代の発生など、残業をめぐる諸問題を勘案し、 

本稿『残業のルールと管理』では、残業に関する基礎的事項を展開しました。

同時に、今はまだ不十分ですが残業をめぐる様々なご要望におこたえすべく、姉妹ページを設けさせえいただきました。

残 業 関 係 記 事 の ご 案 内 
残業のルールと管理 Ⅱ 時間外労働時間の算定
0 「残業のルールと管理」総合案内

① 原則的な時間外労働の場合

② 1ヶ月単位の変形制の場合

③ 1年単位の変形制の場合

④ 事業場外みなしの場合

Ⅰ 労働時間の上限規制
Ⅱ 適切な残業管理を阻害する要因
Ⅲ 残業の基本方針と基本ルール
Ⅳ 労使協定の締結と社内規定の整備 Ⅲ サービス残業問題の解決
Ⅴ 残業時間の適正な把握

① サービス残業のリスク

② サービス残業発生の原因

③ サービス残業解消の施策

④ 設例1「あっせん事例」

⑤ 設例2「是正勧告事例」

⑥ 設例3「定額残業代」

⑦ あきらめない!

不払い残業解消法

Ⅵ 割増賃金の算定
姉 妹 ペ ー ジ
Ⅰ 36協定
① 36協定の概要

② 36協定の協定項目

③ 特別条項付36協定

残業問題のご相談・サービス

残業無料tel

Ⅰ 労基法が定める残業のルール

この記事は、平成30年7月の法改正に対応した内容となっております。

1 時間外労働等の規制

労基法は、法定労働時間及び法定休日を定めて残業を規制する一方、36協定を締結することにより、一定の枠内で時間外労働や休日労働をさせることを認めています。

以下、労基法が定める「法定労働時間及び法定休日」並びに「時間外労働等の上限規制」の概要を説明します。

(1)法定労働時間及び法定休日

① 1日8時間週40時間を超えて労働させてはならない。(労基法32条)

② 毎週1日以上又は4週間に4日以上の休日を付与しなければならない。 (労基法35条)

(2)時間外労働等の上限

時間外労働の上限は、限度時間として法定されています。

ところが、事業を営む場合、臨時的に限度時間を超えて労働させざるを得ない場合が生じます。この場合は、特別条項付の36協定を締結づることにより、限度時間を超えて時間外労働等を行わせることができる旨、定められています。

以下、「特別条項のない36協定を締結する場合」と「特別条項付の36協定を締結する場合」について、上限規制の概要を述べます。 

 特別条項のない36協定を締結する場合

通常予見される時間外労働の範囲内で、かつ限度時間の範囲内で時間外労働をさせることができる。

限度時間は、次のとおりです。

・ 1ヵ月について45時間(対象期間3か月越えの1年単位の変形労働時間制の場合は1ヵ月につき42時間

・ 1年について360時間(対象期間3か月越えの1年単位の変形労働時間制の場合は1年につき320時間)

② 特別条項付きの36協定を締結する場合

臨時的に上記の限度時間を超えて労働させる必要がある場合、1年について6回(6ヵ月)以内に限り下記時間(上記の限度時間を含む)の範囲内で残業させることができる。

・ 1ヵ月について100時間未満(休日労働を含む)

・ 1年について720時間以内(休日労働を含む)

かつ、実際に延長して労働した時間

・ 厚生省令で定める健康上特に有害な業務は、1日について延長して労働させた時間が2時間を超えないこと

・ 1ヵ月について100時間未満(休日労働を含む)

・ 当該月を含む直前の2〜6ヵ月平均が1ヵ月につき80時間以内(休日労働を含む)

 

※ 「臨時的と言えるもの(筆者の解釈に基づく例示)

・ 予算、決算業務

・ ボーナス商戦に伴う業務の繁忙

・ 納期のひっ迫

・ 大規模なクレームへの対応

・ 機械のトラブルへの対応

(3)月60時間を超える時間外労働の割増賃金率

   中小企業も50%に引上げ……H35.4.1 施行

 

2 小規模経営者の苦悩

  • 1か月の時間外が45(42)時間越えは、毎月のことだ。6か月に制限されては経営が成り立たない。さてどうしたものか?
  • 「特別条項」による時間外労働の上限規制が極めて複雑、自社単独での対応は困難だ。さてどうしたものか?
  • 限度時間が法制化されて、罰則が適用される。いい加減な対応はできなくなった。さてどうしたものか?
  • 月60時間越えの割増賃金率が50%に引き上げられると、中小・零細の経営が立ち行かない。さてどうしたものか?

3 社労士から一言

① この度の上限規制に有効に対処するためには、規制内容に関する専門知識事前準備が欠かせません。専門家の援助を受けて、早目に準備に着手しましょう。

※ 貴社の実情に最も適合した方法を編み出すことが重要です。他社の物まねでは不合理な成果しか出ません。「案ずるよりも産むが安し」です。 

② 多くの企業様には、助成金の受給を合わせご案内できると思います。

※ 助成金が受給できれば、経済的負担はぐっと軽減できます。

「専門家にかかると金がかかる。とてもとても……」という前に、ご相談ください。

 

当オフィスは、イレギュラー案件など複雑な対応を要する高難度業務にもチャレンジします

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 受付時間 : 9:00〜17:00(土日祝祭日を除く)
 担当 : 楠瀬貞義(くすのせ さだよし)

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Ⅱ 適切な残業管理を阻害する要因

残業を巡って、行政からの指摘労使トラブル、あるいは人件費の無駄遣いが生起したりすることが少なくありません。

なぜそのような問題が生起するのでしょうか?

適切な残業管理を困難にする要因を整理してみましょう。

 適切な残業管理を困難にする要因 

1 経営側の要因 

① 残業に関する会社の基本方針や基本ルールが不明確で、適切な残業管理が行われていない。

② 残業代を節減するため 、残業時間に上限を設ける。

③ 残業する者を高く評価し、しない者を低く評価する。

④ 始業・終業時刻の明確な把握・管理の要領を確立していない

2 管理職側の要因 

部門の成績向上のためには、長時間労働は歓迎である。よって

① 残業時間の抑制には消極的である。

② 人事考課で残業する者を高く評価し、しない者を低く評価する。

 無言の圧力などにより、適正な残業時間の申告を抑制する。

3 従業員側の要因 

① 生活費補填のため、残業が習慣化している。

② 低く評価されるのを嫌い、残業が習慣化している。

③ 定時退社しにくい雰囲気があり、付き合い残業が習慣化している。 

④ 雑談、友人との待ち合わせなどのための時間調整など、終業後の滞留が発生する。

上述のような要因は、結果として次のような深刻な弊害をもたらすことになります。 

 上記要因がもたらす残業管理上の弊害

① ダラダラ残業や付き合い残業など、労働者任せの残業が発生し、不要不急の残業が行われる。

② 漫然と長時間労働が行われ、健康被害が発生する(安全管理義務違反)。

③ 上司の圧力などにより、正確な残業時間が把握できず、サービス残業が発生する。

上記の「適切な残業管理を困難にする要因」を克服して、適正な把握を行うためには、最小限次のとおり施策する必要があろうかと存じます。

 適切な残業管理を行うための基本的施策

① 残業の基本方針基本ルール人事考課における残業の取り扱い等を明確にする。

② 管理職の労務管理責任を明確にするとともに、会社としての残業に対する基本姿勢・基本ルール、残業管理の具体的要領等を浸透させる。

③ 従業員に会社としての残業の基本ルールや残業を行う場合の規律等を周知・徹底し、適正な残業管理特に残業時間の適正な把握を推進するとともに、不要不急の残業を戒める。 

 

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Ⅲ 残業の基本方針と基本ルール

残業に関する会社の基本方針と基本ルールについて、「かくなければならない」といった明確なものはありませんが、一例として当オフィスでは次のように考えております。

1 残業の基本方針

残業の基本方針は、労務管理・雇用管理において重要な地位を占めます。

これを明確にしないことには、人件費や被雇用者数の見積もり36協定や就業規則の内容を確定することができないと言っても過言ではないでしょう。

残業に関する企業としての明確な方針を明確にしないまま、ただ漫然と残業を管理し、「残業が多すぎる」「残業代が馬鹿にならない」などと、嘆いている企業様をよく見かけます。

そればかりか、残業が多い場合は、従業員の健康にも悪影響を及ぼし、安全配慮義務違反に問われる可能性だって否定できません。

 

残業とは、本来必要な労働力量の変化に柔軟に対応するために行わせるもので、無闇やたらと行わせるものではありません。

以下、よくある事例を挙げてみましょう。 皆様はこのような事例をどのように考えられますか?

① 従業員の解雇は簡単ではない。

よって、業務量が閑散なときを基準に従業員数を最小に抑え、繁忙期には残業を積極的に活用する。

② 仕事の成果が上がることが第一だから、残業をするか否か、何時間させるかなどは現場の管理職の自由な判断に任せ、会社としては一切関与しない。

③ その時その時の業務量を的確に判断できるのは、各業務の担当者だから、残業をするか否か、何時間するかなどの判断は各従業員に任せる

これでは、労務管理不在です。

①については、

「25%の割増賃金を考えると、必ずしも従業員数は最小がよいとは限らない」

「余剰時間は教育訓練や整理整頓などに活用できる」

「臨時職員などの活用により、業務量の変動に対応できる可能性がある」

などを考えると別の答えが出てくる可能性があります。

②については、

「管理職は自部門の成績向上を追求し、残業を抑制しようとしない」

「残業の少ない社員が低評価を受ける」

などにより、だらだら残業や付き合い残業が増加する可能性があります。

③については、

だらだら残業の温床になる可能性があります。

「職務内容や職務の配分の見直し」

「パート職員による上級職員の援助」

「固定残業代の導入※」

などにより、各職員の業務量ひいては残業をしっかり管理しましょう。

※ 固定残業代の導入……例えば30時間分の固定残業代をつけたとします。従業員は20時間しか残業しなくても30時間分の残業代を受け取れるので、効率的な業務遂行を目指すようになり、結果的に残業が減少すると言われています。経営者にとっては、「損をして得を手取れ!」です。

<残業の基本方針(一例)>

会社は、必要な労働力量の変化に対応して、抑制的かつ必要最小限度に残業を活用する。

このため、各課別に各月ごとの延長時間限度を上限目標として割り当てる。

各課長は、延長時間限度厳守して所属従業員の残業時間を管理するものとし、これを超過するときは事前に社長に上伸してその許可を得るものとする。

各課別別延長時間限度

  1   月 2  月 3  月 4月以降
A 課 25時間/人 20時間/人 40時間/人 別  示
B 課 20時間/人 20時間/人 30時間/人 別  示

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2 残業の基本ルール

残業の基本ルールとして確立すべきは、以下のとおりです。

① 残業は、「命令による残業」を基本とする。命令権者はだれか。

② 「事前に許可を得て行う残業」を認めるか否か、認めるとすれば許可権者は誰か。

③ 「残業と評価(人事考課)」の関係を明確にする。

これについては、多くの説明は要しないでしょう。

重要なことは、

① 残業の命令・許可権は会社にあることを明確にする。

② 管理職の残業管理責任を明確にする。

③ 残業を人事評価と直接結び付けない

※ ③は、「残業の多い社員は仕事熱心である」「残業しない社員は仕事熱心でない」などといった短絡的な評価を否定するものです。

当該社員の残業を含む総労働時間と達成した仕事の質的成果量的成果を勘案すれば、社員の優劣は自ずと評価できます。

ただし、残業命令に服さないなどの場合は、態度考課などで別に評価し、あるいは懲戒処分の対象とすることもありえます。

<残業の基本ルール(一例)>

1 残業は、上司の命令に基づき、実施するを基本とする。

2 残業を命ぜられた者は、正当な理由がない限りこれを拒否できない。

3 従業員が残業の必要を認めた時は、上司の許可を受けてこれを行うことができる。

4 残業の許可・命令権者は、次のとおりとする。

① 課長に対する許可・命令権者:社長

② 各課員に対する許可・命令権者:課長

5 細部の手続き等必要な事項は、就業規則等に定める。

このような基本的な方針・ルールを確立したうえで、社内規定を整備しあるいは36協定を締結して、残業を管理することが肝要です。

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Ⅳ 労使協定の締結と社内規定の整備

1 概  要

労働基準法は、 1週間に40時間、1日に8時間を超える労働を禁止しています。また、週1回又は4週間を通じ4日以上の休日を与えなければならないとも規定しています。

では、合法的に時間外・休日労働をさせるためためには、いったいどうすればよいでしょうか?

① 労基法は、『36協定』を締結して、労働基準監督署に届け出れば、協定の範囲内で(法定の)時間外・休日労働をさせることができると定めております。 

 しかしながら、協定の締結・届出によって使用者が獲得できるのは、免罰効果(協定の範囲内で時間外労働等を命じても罰則の適用を免れる)に過ぎません。

② 即ち、個々の労働者と時間外・休日労働を実施させるための契約を結ばなければ、労働者に時間外労働等を命ずることができません。

ではこの契約はどのような 形で結べばよろしいのでしょうか。一般には就業規則労働協約労働契約書などに定めることにより契約します。 

本稿では、最も代表的なものとして、就業規則に定める方法を解説いたします。

また、

 災害等により臨時に必要がある場合については、労働基準監督署の許可をうけて、その暇がない場合は届出により、時間外・休日労働を命ずることができます。

④ 変形労働時間制事業上外みなし労働時間制裁量労働制などを採用することにより、①に述べた要件を緩和することができます。

 

2 36協定の締結

36協定については、別ページにまとめました。

36協定は → こちらをクリック

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3 残業のための根拠規定の整備

(1)就業規則本文

次の2点を重視して本文を規定します。

① 先に述べた『適切な残業管理を行うための基本施策』を具体化する

② 個々の労働者に時間外労働をさせるための根拠規定とする。

※1 いわば、個々の労働者と時間外労働に関する労働契約を結びます。

※2 個々の労働者とは、労働協約、雇用契約書等で契約することも可能です。

③ 時間外労働のための手続き事項を定めます。 

(2)賃金に関する規定

割増賃金率は、「賃金の決定、計算及び支払いの方法」に該当し、絶対的必要記載事項です。

賃金規程には、一般に割増賃金率及び割増賃金計算の要領を規定します。

→ 就業規則及び賃金規程の残業に関する規定(一例)を読む

→ 「残業のルールと管理」トップページ(目次)はこちら

 

 

 

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1 就業規則本文(規定例)

(時間外労働、休日労働及び深夜労働)

第○条 会社は、業務の都合により第○条の所定労働時間を超え、又は第○条の所定休日及び午後10時から午前5時までの深夜に労働させることがある。この場合において、法定の労働時間を超え、又は法定の休日における勤務については、会社は従業員の過半数を代表する者と別に定める労使協定を締結し、当該協定の範囲内で時間外・休日労働を命ずるものとする。

2 前項の勤務を命ぜられた者は、正当な理由なくこれを拒むことはできない。

3 妊産婦たる従業員が請求した場合は、第1項に定める時間外、休日又は深夜に労働させることはない。また、変形労働時間制の適用対象者が請求した場合は、1週40時間、 1日8時間を超えて労働させることはない。

4 従業員が所定労働時間を超えて勤務をする場合は、所属長から勤務時間、業務内容等が明示された場合を除き、事前に事業所所定の申請書で所属長に申請を行い、許可を受けなければならない。ただし、やむを得ない事情がある場合に限り、事後承認も認めるものとする。

     ……(以下略)…… 

(労働時間の適正な把握・管理) 

第○条 労働時間の把握・管理は、原則としてタイムカードによるものとする。ただし、タイムカードによる管理が適正に行われていないと認められるときは、所属長の把握する時間とする。

 

(服務心得)

第○条 従業員は、次の各号に掲げる事項を遵守し、服務に精励しなければならない。

(1) 会社の許可を得ることなく、終業後職場その他の会社施設に滞留してはならない。

(2) 勤務に関する手続を怠り、又は偽りを行ってはならない。

     ……(以下略)…… 

 

(管理職の心得)

第○条 管理職は、次の各号に掲げるを遵守し、服務に精励しなければならない。

(1) 勤務に関する手続を怠り、又は偽りを行ってはならない。

(2) 部下の勤務時間・勤務成績を適正に把握・評価しなければならない。

※ 勤務時間の具他的把握要領や人事考課の要領等は、全員に開示すべき事項ではなく、就業規則への記述には馴染まない。

     ……(以下略)…… 

2 賃金規程(規定例)

割増賃金率及び割増賃金の計算要領について規定した賃金規程の一例は次のとおりです。

尚、時間外労働に係る割増賃金率は多くの会社では全て25%としていますが、ここでは多段階の割増賃金率を設定した場合について例示しました。

就業規則割増賃金.jpg

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Ⅴ 残業時間の適正な把握

残業を適正に管理するためには、労働時間を適正に把握しなければなりません。

そこで厚労省では、次の通達を発してこれを指導しております。それは、

 

  • 労働時間の適正な把握のために使用者が構図べき措置に関する基準(平13.4.6基発339号。以下「適正把握基準」という)
  • 上記基準解釈例規(平13.4.6基発339号。以下「基準について」という)

1 労働時間の適正な把握の対象

以下の者を除く全ての労働者

・ 管理監督者

・ みなし労働時間制が適用される労働者

 (事業場外労働を行うものにあっては、みなし労働時間制が適用される時間に限る)

2 労働時間の適正な把握のために使用者が構図べき措置

① 始業・終業時刻の確認及び記録 

労働日ごとに始業・終業時刻を使用者が確認・記録

 

② 始業・終業時刻の確認及び記録の原則的な方法

原則として次のいずれかの方法による

a 使用者が、自ら現認することにより確認・記録すること

当該労働者からも併せ確認することがより望ましい

b タイムカード、ICカード等の客観的な記録を基礎として確認、記録すること

 ・ 上記客観的記録を基本情報とし、必要に応じ使用者側の記録(残業命令書等使用者が労働時間算出のために有する記録)と突合して確認、記録

 ・ タイムカード、ICカード等には、IDカード、パソコン入力等を含む

 

③ 自己申告制により始業・終業時刻の確認を行わざるを得ない場合の措置 

a 労働時間の実態を正しく記録し、適正に自己申告行うことなどについて十分な説明を行うこと

・ 導入前に、対象労働者に対し十分な説明

・ 説明内容;「自己申告制の具体的内容」、「適正申告により不利益な取り扱いが行われないこと」etc. 

b 自己申告により把握した労働時間と実際の労働時間が合致しているか否かについて必要に応じ実態調査を実施すること 

・ 定期的に実態調査を行うことが望ましい

・ 労働者や労働組合等から労働時間が適正に把握されてない旨の指摘

→ 実態調査の実施が必要

∵自己申告による労働時間の把握 → あいまいな労働時間管理となりがちだから

c 労働時間の適正申告阻害目的をもつ各種措置の禁止

&労働時間に係る措置が適正申告阻害要因となっていないか確認

→ 阻害要因となっている場合は改善措置の実施

<労働時間適正把握の阻害に繋がる可能性のある措置例> 

・ 時間外労働時間数の上限設定

・ 時間外労働時間削減のための社内通達

・ 時間外労働手当の定額払い

 ・ 職場単位ごとの割増賃金に係る予算枠の設定

・ 職場単位ごとの時間外労働の目安時間の設定

 

④ 労働時間の記録に関する書類の保存

a 労基法109条に基づき3年間保存

b 労働時間の記録に関する書類とは

 ・ 使用者自ら始業・終業時刻を記録したもの

・ タイムカード等の記録

・ 残業命令書及びその報告書

・ 労働者が自ら労働時間を記録した報告書etc.

※1 「労働時間の記録に関する書類」は、労基法109条の「その他労働関係に関する重要な書類」に該当 

※2 賃金台帳記入事項として、労働日数、労働時間数、休日労働時間数、早出残業時間数、深夜労働時間数が掲げられていることに留意

 

⑤  労働時間を管理する者の職務

・ 当該事業場内における労働時間の適正な把握等、労働時間管理の適正化に関する事項を管理

・ 労働時間管理上の問題点の把握及びその解消を図る

⑥ 労働時間等設定改善委員会等(※)の活用

※ 原文では「労働時間短縮推進委員会

a 事業場の労務管理の状況を踏まえ、

・ 必要に応じ労働時間等設定改善委員会等の労使協議組織を活用

・ 労働時間管理の現状を把握の上、労働時間管理上の問題点及びその解消策等の検討を行うこと

b  労働時間等設定改善委員会、安全衛生委員会等の

労使協議組織がない場合 → 新たに労使協議組織を設置することも検討すべきこと

c 労使協議組織の活用による措置を講ずる必要がある場合の例

・ 自己申告制により労働時間の管理が行われている場合

・ 一の事業場において複数の労働時間制度を採用しており、これに対応した労働時間の把握方法がそれぞれ定められている場合 

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3 残業時間の算定要領

 残業時間の算定要領はこちら 「時間外労働時間の算定」 

→ 「残業のルールと管理」トップページ(目次)はこちら

 

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Ⅵ 割増賃金の算定

割増賃金額の算定にあたり、特に難しいことはありませんが、法令で細かく定められております。

特に注意してほしい事項は以下のとおりです。

① 時間外労働・休日労働時間の集計や計算途上の金額の端数処理に誤りが散見される。

 

② 時間外労働1時間当りの割増賃金額の算定誤りが多い(月平均所定労働時間を使用して計算することを知らないか、又はこれを正しく計算できないことに起因)。

 

③ 歩合給に残業代を加味していない例が散見される。

 

 固定残業代を支給している企業に、残業代の算定を怠り、法定支給額に満たない残業代を支給している事例が散見される。

→「割増賃金の算定要領」について続きを読む

→ 「残業のルールと管理」トップページ(目次)はこちら

 

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このページは、賃金計算の要領を述べることを目的としたものではなく、あくまでも残業の管理について理解を深めることを目的としております。

従って、このページの記述は、残業管理の視点から見た割増賃金の算定の概要を述べるに留めさせたいただきます。

賃金計算の詳細につきましては、他の著作やH/Pをご参照ください。

以上の趣旨から、多くの企業様にご参考いただけますよう、月給制、日給制、時給制、歩合給(出来高給)を採用している企業を例にとり、割増賃金率を時間外労働:25%、深夜労働:25%、休日労働:35%として論を進めさせていただきます。

1 割増賃金額の算定要領

(1)月給制の場合  

1月平均所定労働時間を用いて計算します。

 
① 1月平均所定労働時間 
 
年間労働日数×所定労働時間=(365日-105日)×8時間/12月
 
=173.33時間 
 
 
※1 所定休日:105日、所定労働時間:1日8時間の場合を例にとって算定した。
 
※2 端数は切り捨て可、小数点以下2位くらいまでを用いるのも一法。本例では切り捨てて以下の計算を行います。
 
② 時間外労働1時間当たりの割増賃金額 
 
月額給与合計額/1月平均所定労働時間×1.25 
 
=30万円/173時間×1.25=2167.63円/時間 → 2,168円
 
※1 月額給与合計額を30万円として算定しました。端数は、四捨五入できます。
 
※2 月額給与合計額とは、通常の労働時間の賃金であり、残業代などは通常の労働時間の賃金ではないので計算には含めません。
 
※3 上記のほか、計算の基礎から除外できる賃金に、「家族手当」「通勤手当」「別居手当」「子女教育手当」「住宅手当」「臨時に支払われた賃金」「1ヶ月を超える期間ごとに支払われる賃金」(限定列挙)があります。除外できる賃金に該当するかどうかは、実質を見て判断されます(細部は他の資料を参照されたい)。なお、除外できる賃金は、「カ・ツ・ベ・シ リ・イチのスマイ(住まい)」と覚えておけば楽です。
 
③ 休日労働1時間当たりの割増賃金額
 
月額給与合計額/1月平均所定労働時間×1.35 
 
 ※ 割増賃金率が異なるほか、時間外労働の場合に同じ。
 
 
④ 深夜労働1時間当たりの割増賃金額
 
月額給与合計額/1月平均所定労働時間×0.25
 
※1 割増賃金率が異なるほか、時間外労働の場合に同じ。
 
※2 深夜業の場合は、1.00の部分は所定労働時間分として支給されるので割増賃金率は、0.25となります。なお、時間外労働と重なる場合は1.50、休日労働と重なる場合は1.60として計算します。 
 
(2)日給制の場合 
日額給与/1日所定労働時間×割増賃金率 → 細部略(月給制を参考にされたい)
 
(3)時給制の場合 
時間給×割増賃金率 → 細部略 (月給制を参考にされたい)
 
(4)歩合給(出来高給)の場合 
歩合給(出来高給)/1ヶ月の総労働時間×0.25
※1 1ヶ月の総労働時間は、所定労働時間+時間外労働時間+休日労働時間です。 
 
※2 割増賃金率が0.25となるのは、1.00の部分は既に歩合給として支払われているからです。例えば、100万円の売上に対して1%が歩合給となる場合1万円は既に本来の歩合給として支払われているので、残りの25%を支払えばよいということになります。
 

(5)給与が月給、日給、時間給、歩合給(出来高給)の

2つ以上で構成されている場合

1~4でそれぞれ計算した額の合計額を用います。 

 

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2 割増賃金の算定例

(1)設  例 

次の条件で、美容院(1週間の法定労働時間:44時間)にスタイリストとして勤務するA子さんの7月分割増賃金を計算してみましょう。
労働条件等 7月の勤務実績
7月所定労働時間:196時間 総労働時間:260時間
月平均所定労働時間:190時間 休日労働・深夜労働:なし
基本給:15万円 欠勤・遅刻・早退:なし
歩合給:売上高の20% 売上高:80万円

 (2)割増賃金の算定

① 1時間当たり割増賃金 
 
A 基本給部分 
 (15万円/190時間 )×1.25=987円/時間
 B 歩合給部分 
 (80万円×0.2/260時間 )×0.25=154円/時間
 C 1時間当たり割増賃金
 987円/時間+154円/時間=1,141円/時間 
 
② 時間外割増賃金 
 
1,141円/時間×(260時間-196時間)=73,024円 
 
 

3 社労士から一言


 歩合給部分の割増賃金の算定を忘れている例が時々見かけられます。歩合給を採用している企業は少なくないですよね。注意しましょう。

 

② 賃金計算においては、端数処理ひとつ間違えただけで全額払いの原則に反すると指摘される可能性があります。

端数処理について、本稿では詳細を述べておりませんが、わかっていても間違いが生じやすいところです。

端数処理は、常に労働者に有利になるようにしてはいかがでしょうか。検証はしておりませんが、そうしたところで事業主の損失は、最大見積もっても従業員1人当たり数十円以内でしょう。

具体的には、  

a 残業時間の月間合計時間は、面倒くさくても切上げ・切捨てなしで算定するか、月間合計時間の30分未満は切り捨て、30分以上は1時間に切り上げで原則どおりの端数処理しましょう。

残業時間は、日々分単位で把握しなければなりませんが、月間合計は30分未満は切り捨て、30分以上は1時間に切り上げで端数処理できます。

幾ら「労働者に有利に」といっても1分の残業を1時間に切上げるわけにはいかないでしょう。ここは原則どおり。従業員有利にはしません。

b 計算途中や最終の計算結果の端数処理(月間平均所定労働時間などは、時間未満の端数は全て切捨て、1時間当たり割増賃金や割増賃金額など最終の計算結果等は、全て1円単位に切上げ )は、全て労働者に有利になるように扱いましょう。

c 本稿の記述対象外ですが、税金や社会保険料など給与から源泉控除するものも1円未満は全て端数切捨てで、労働者有利に処理しましょう。  

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