Ⅱ サービス残業発生の原因

サービス残業は、どのようにして発生するのでしょうか。

一般には、次のようなことが原因と考えられます。

① サービス残業の強制・黙認

② 労働時間の把握・算定ミス

③ 残業代の算定ミス

④ 定額残業代等の不適切な運用

以下、各ケースについて若干の説明を試みて見ましょう。

 

1 サービス残業の矯正・黙認

労働基準法は、経営者に対し、労働者の労働時間(残業時間)を正確に把握して、働いた分の賃金(残業代)を全額支払うことを求めています。

「指示もしないのに従業員が勝手に残業している(見て見ぬふり)」「自らの能力不足をカバーするために残業しているに過ぎない」「残業代を支払う余力がない、倒産したら従業員も困るはずだ」などの言い訳はまず通りません……。

サービス残業強制又は黙認している場合、残念ですが、裁判になったら会社はほぼ確実に負けてしまいます。

経営者のお気持ち、昨今の経営の実情はお察しいたしますが、このあたりの事情は冷徹にご認識ください。

それではよく見られるサービス残業のパターンを見てみましょう。

① 自己申告抑制型

残業時間を自己申告する制度を採用しているが、一定時間を超える残業の申告を抑制せざるを得なくなるような指導を行う。その結果としてサービス残業が発生する。

② 上限設定型

1ヶ月○時間までというように残業時間に上限を設定し、これを超える時間分の残業手当を支払わない、又は上限を超える残業を申告させない。

③ 代休・振替休日未消化型

休日出勤した場合、代休や振替休日をとるよう指導しながら、業務の都合などで未消化となった休日分の残業代を支払わないまま放置する。

④ 非適合管理監督者型

法に定める管理監督者に該当しない者を管理監督者として取り扱い、残業代を支払わない。 

 

2 労働時間の把握・算定ミス

 (1) 労働時間の把握ミス

労働時間の把握義務は、経営者にあります。

よく見られるミスは、

① 従業員に任せっぱなし

従業員は、残業時間を正確に申告しにくいこともあります。

② タイムカード任せ

始業時刻・終業時刻を把握しなければならないのに、タイムカードには出・退勤時刻しか記録されていない。

※ 出勤時刻から退勤時刻までの賃金を支払うのであれば、それでもOK

③ 労働時間の端数切捨て

労働時間は、1分単位で把握しなければなりません。

15分単位、30分単位で把握していることも少なくありません。

※ 例えば、1分を15分又は30分に切り上げるのであれば問題ありません。

 →  残業時間(労働時間)の適切な把握はこちら

 

 (2) 労働時間の算定ミス

 

時間外労働時間を正しく算定できなければ、正しい賃金計算はできません。

 

よく見られるミスは、

① 「時間外労働とは何か」の理解不十分によるミス

② 算定要領(手順)のミス

多くの場合、1日 → 週( → 変形期間)の順に算定

ここで簡単に述べることは難しいと思われます。

詳しくは、下記ページをご参照ください。

 

 

 

 → 時間外労働時間の算定はこちら

 

3 残業代の算定ミス

よくみられる算定ミスは、

① 1時間当りの残業代(割増賃金額)の算定ミス、

特に月平均所定労働時間の算定ミス

② 歩合給に係る残業代(割増賃金額)の算定ミス又は欠落

③ 固定残業代を超える残業代の不算定

 → 割増賃金の算定はこちら

4 定額残業代等の不適切な運用

このケースには、事業主の故意や悪意が認められないケース も多いようです。

幾つかのケースを見てみましょう。

① 支払額不明型

『月給(年俸)○○万円(残業代込み)』『○○手当て(残業代を含む)』『○○手当て、これは残業代の代わりだよ』としていているケースがこれにあたります。

一体いくらが残業代なのか残業代の支払額が不明であるため、従業員や第三者から見た場合、残業代が適正に支払われているかどうかわからないため、クレームが生じるのです。

紛争になった場合、残業代等を支払っていない(違法)とみなされるケースが多いといえます。

② 定額支払い超過額不払い型

 『月給(年俸)○○万円(残業手当○○万円(○時間分)を含む)』『○○手当て(残業手当○○万円(○時間分)を含む)』『定額残業手当:○○万円(〇時間分)』”というふうに残業代の支払い額を明示しているが、これを超える残業を行ってもその差額を支払わないというケース がこれにあたります。
このケースでは、残業代は全く支払われていない(定額残業代制度が無効)と判断されるケースが多くなっています。

以上のようなケースでは、経営者は“残業代は支払っている”と考えていることが多いのですが、

従業員は“残業代が支払われていない”あるいは“支払われているにしても、いくらが残業代かわからないあまりにも少額である”などと主張するといったようなことが起こりえます。

また、行政・司法当局から厳しい判断くだされることを覚悟しなければなりません。

 

→ 「サービス残業の解消」トップページ(目次)はこちら

 

 

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