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1 フレックスタイム制とは
フレックスタイム制とは、1か月以内の一定期間(清算期間)内の総労働時間を定めておき、その総労働時間の範囲内で労働者が各日の労働時間を自分で決める制度です。
今仮に清算期間を1か月、清算期間内の総労働時間を171時間(40時間/週×30日/7日)として、もう少し理解を深めてみましょう。
① 労働者は各日の始業時刻と終業時刻を自分で自由に決めることができる。
よって、ある日は 10時間、ある日は4時間という風に1日の労働時間を自由に調整できます。
② 労働者は、1か月の清算期間内に総労働時間の171時間働く義務がある。
③ 法定労働時間の総枠(171時間)を超える時間が時間外労働となる。
この月に180時間働いたとすると、この月の時間外労働は9時間です。
“通常の労働時間制”の場合のように、ある日1日10時間働いたら、8時間を超える2時間が時間外労働といったような扱いにはなりません。
※ 詳しい説明を省略しますが、 ここでは法定労働時間の総枠=清算期間の総労働時間171時間として、話を進めます。
④ 法定休日労働や深夜労働の扱いは、“通常の労働時間制”の場合と同じ。
⑤ 事業主はコアタイム(労働しなければならない時間帯)を設定できる。
※ 会議等は、この時間帯に実施することになる。
2 フレックスタイム制の問題点
上記1項だけ見れば、保険代理店に最適の制度だとお考えになるかもしれません。ただし、この制度には大きな制約があります。
すなわち、フレックスタイム制においては、使用者に労働時間把握義務があり、使用者は各労働者の各日の労働時間を把握した上で、清算期間ごとの時間外労働を算定しなければなりません。
この点が、次回述べる“みなし労働時間制”と根本的に異なるところです。
よくお目にかかるのが、「労働時間の自己申告制」を採用し、「労働時間は労働者の申告通りに認めているので、何の問題もないはずだ。」という主張です。ところが、自己申告制は不適切に運用されると、割増賃金の未払いや加重労働の問題が生じやすく、行政はこれを甘く見過ごしてはくれません。
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3 労働時間の適正把握
行政は個別の事例(事情)ごとに適法かどうかを判定しますので、“これで絶対大丈夫”という方法はありませんが、行政通達等に従えば、以下の要領が一例(あくまでも一例)として考えられます。
① 労働時間の実態を正しく記録し、適正に自己申告を行うことなどについて十分な説明を行う(自己申告制の具体的内容、適正な自己申告に対する不利益な取り扱いがないことなど)。
② 自己申告により把握した労働時間が実際の労働時間と合致しているか否かについて、必要に応じ実態調査を行う。
③ 労働者の適正な申告を阻害する目的で時間外労働時間数の上限を設定するなどの措置を講じない。
また、時間外労働時間の削減のための社内通達や定額残業代などの措置が労働時間の適正な申告を阻害する要因になっていないかなどを確認し、必要に応じ是正措置を講じる。
④ 労働者にその日の行動内容を記載した予定表を事前に提出させるとともに、訪問先における訪問時刻と退出時刻を記録・報告させる。
⑤ 重要な結節においては、会社に連絡を入れさせる。
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