Ⅳ−3 実用可能な労働時間の設定

1 代替案の列挙

実用的な代替案として、以下の3案を取上げてみました。
① 社会保険に加入させないことを基本とし、下記3案の中から会社が選定する案(複数案併用可)に全従業員を当てはめる。(A案)

a 1日8時間、週3.5日

b 1日8時間、月15日

c 1日5時間45分、週5日


② 社会保険への加入を極力抑制することを基本としつつ、社会保険加入を強く希望する者には社会保険加入を認める。社会保険に加入しない者は、下記3案の中から会社が選定する案に全従業員を当てはめる。(B案)

a 1日8時間、週3.5日

b 1日8時間、月15日

c 1日5時間45分、週5日

③ 社会保険に加入させないことを基本とし、1日4時間労働2交代制を採用する。(C案)

2 各代替案の分析

それでは、2つの代替案を分析してみましょう。

 (1)  A案

A案は、社会保険に加入しないことにより、会社の出費を抑えることに最大の目的があります。


a、b、c案のいずれを採用するかは、会社の業務の特性や労働者の希望を考慮して定めることになりましょう。


この案の最大の利点は、パート労働者の多数を占め、かつ社会保険加入に大きなメリットのない“サラリーマンの妻たるパート労働者”の賛同を得やすい点にあります。


実施に当たっては、できるだけ多くの労働者の協力を獲得すべく、従業員全員に分けへだてなく、会社の実情を説明し、納得してもらう努力が必要です。


この案の欠点は、自ら国民年金保険料などを負担しており、社会保険加入を希望する労働者の賛同を得にくい点にあります。


社会保険に加入できないことに加え、月収が減少しますので、労働条件の不利益変更の問題が生じる危険性もあります。


どうしても同意を得られない労働者については、若干の賃金引下げなどを条件に社会保険加入を認めざるを得ない場合があることを視野に入れることも必要かもしれません。


ただし、新しく採用する労働者については、社会保険加入を認めないことを前提とした募集を行うことも可能かと考えられます。

 

 (2) B案

B案は、不利益変更の問題化を避け、社内の軋轢を最少  にしつつ、社会保険加入に伴う会社の出費を最小に抑えることに狙いがあります。


会社側に余力があるときは、この方法が最適です。

社会保険に加入を強く希望するパート労働者の欲求を満たすことができることから、社内に大きな軋轢が生じるリスクを最小にとどめることが可能です。


また、「パートタイム労働者の多くはサラリーマンの妻である」との前提が崩れない限り、社会保険加入を最少にとどめたいとの会社の要望を伝え、協力を求めれば長期勤務を希望する労働者などを中心に協力を得られる可能性も期待できると考えられます。


一方、社会保険に加入を希望する労働者数が多数にのぼる場合、事業主の負担が過度に大きくなることも考えられます。

ただし、新しく採用する労働者については、社会保険加入を認めないことを前提とした募集を行うことも可能かと考えられます。


 (3)  C案

収入ダウンが大きく、現時点でこれを全パート労働者に本案を強制することは困難かと考えられます。

しかしながら、1週間の労働時間20時間以上の者を社会保険に強制加入させようとする政府案の存在を考えれば、本案を全面的に否定するのではなく、短時間労働を希望する者や今後採用する者を中心に、たとえ一部でも本案(4時間労働2交代制)を採用する可能性を追求すべきではないかと思われます。

すなわち、  としつつ、C案を併用ることを視野に入れるのも一法かと思料します。

3  結 論

サラリーマンの妻などが多いかどうかなど、細部の事情は会社ごとに異なると思われますが、一般には以下の要領がよいのではないかと考えます。


① 会社の負担能力を考慮して社会保険問題への対応方針をA案又はB案に決定します。

※ A案、B案のいずれを採用すべきかは、会社ごとの事情があり、ここで画一的に決め付けるのは困難です。


② 社会保険に加入させないか又は加入を抑制したい場合は、会社側の実情をよく説明し、粘り強い説得により協力を求めることが肝要です。


③ 社会保険への加入を強く希望する労働者は、現実問題して社会保険加入を認めざるを得ない場合があることを視野に入れる必要があろうかと考えます。

この場合、各労働者間の公平を保つよう考慮することが重要です。

④ 今後社会保険への加入要件が、週の労働時間が20時間以上となることを視野に入れつつ、A案又はB案と併用して、たとえ一部でも1日4時間労働2交代制の導入できないか検討します。


⑤ 今後の採用に当たっては、可能な限り社会保険加入を要しない労働条件(労働時間)を提示して募集を行うのも一法かと考えます。

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