Ⅴ 歩合給制と保障給

労働者の賃金が極端に低額になるのを防止するため、労働基準法は既に説明した最低賃金の外に、保障給の規定をおいています。

保障給は、歩合給制賃金を理解するうえで、最も重要な概念です。

それでは、労働基準法第27条(出来高払制の保障給)の条文並びに保障給に関する解釈例規を見てみましょう。

※ 法令上の用語は、あくまでも“出来高払制の保障給”です。読者の皆様はこれをこの記事のタイトルに合わせ“歩合給制の保障給”と読み替えてください。

1 労基法第27条(出来高払制の保障給)

出来高払制その他の請負制で使用する労働者については、使用者は、労働時間に応じ一定額の賃金の保障をしなければならない。

2 解釈例規

基発第150号(昭和63年3月14日)は、「保障給の趣旨」並びに「使用者の責に帰すべき事由によらない休業の場合の保障給」について次のように述べています。

<保障給の趣旨>

本条は労働者の責に基づかない事由によって、実収賃金が低下することを防ぐ趣旨であるから、労働者に対し、常に通常の実収賃金とあまりへだたらない程度の収入が、保障されるよう保障給の額を定めるように指導すること。

なお、本条の趣旨は全額請負給に対しての保障給のみならず一部請負給についても基本給を別として、その請負給について保障すべきものであるが、賃金構成からみて固定給の部分が賃金総額中の大半(概ね六割程度以上)を占めている場合には、本条のいわゆる「請負制で使用する」場合には該当しないと解される。

<使用者の責に帰すべき事由によらない休業の場合の保障給>

 問  同一工場内で出来高払い制の労働者と日給制の労働者を同時に使用している事業が、使用者の責に帰さない事由によって休業した場合、日給制労働者に対しては法第26条(休業手当)の手当を支給する必要はなく、出来高払制労働者に対しては法第27条(出来高払制の保障給)によって保障給を支給する必要があると解されるが如何。

※ 括弧書きは筆者が加筆したものです。

 答  法第27条の「出来高払制の保障給」は、労働者の責に基づかない事由によって仕事が少なくなりその賃金が極端に低額になる場合における最低保障給を要求しているのであって、労働者が労働しない場合には、出来高払制たると否とを問わず本条の保障給は支払う義務はない。

3 具体的対応策

労基法第27条(保障給)に具体的に対応するためには、以下に留意してください。

① 1時間につき幾らと時間給で保障給の額を定める。

※ 法の要求は“労働時間に応じ一定額の保障”ですから、時間給で保障しなければなりません。

よくある、“平均賃金の60%を保障する”などというのは、“一定期間に応じ幾ら”という定めであり、法の要求を満足するものではありません。

② 保障給の額は、1時間当りの収入が実績の6割程度を下らないように定める。

※ これは、労働時間が同じなら通常の実収賃金の6割程度を保障するという趣旨です。

③ 上記①②の内容を就業規則や労働協約等に定める。

※ 法第27条の“保障する”は、支払うだけでなく、規定することを求めています。

④ 生の支給額(保障給を考慮しないで算定した額)が保障給の額を下回るときは、生の額との差額を保障給として支払う。

※ 保障給は、労働したにもかかわらず、実収賃金が著しく減少したときに支払うものです。

仕事が少なくて休業させたときとか、労働者が傷病(労災を含む)で休んだ時には、保障給は発生しません。

ただし、労働者には休業手当、休業補償など、別の救済策が適用されます。

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