Ⅲ 社会保険料の額とその評価

1 社会保険料の額

それでは、社会保険に加入した場合、どの程度の費用がかかるのでしょうか。

各会社で一般によく見られるパート労働者の例として、
標準報酬月額:10万円(細かく言えば、9.8万円又は10.4万円)、賞与:なしの場合を考えてみましょう。


この場合の社会保険料率は、厚生年金保険料率:16.412%、健康保険料率(埼玉県):10.205%(40歳未満:9.45%、40歳以上:10.96%の平均値)、合計(社会保険料率):26.617%となります。

※ 保険料率は、平成23年9月現在のものを使用しています。

具体的な保険料は、
10万円×26.617%=26,617円(年額:319,404円=約32万円)
パート労働者10人の年間給与額合計が1,200万円なら約320万円(労使折半で事業主負担:約160万円)です。

労働保険料に比しかなり高額ですね。

 

2 社会保険料の評価
(1) 事業主の立場からの評価

社会保険料の事業主負担分は、賃金額の13%強であり、やはり痛い出費です。
白紙的にはない方がいいに決まっています。

 

 

(2) パート労働者の立場からの評価

ア サラリーマンの配偶者の場合

サラリーマンの配偶者(妻)は、パート労働者の多くを占め、おそらくは多数派でしょう。
サラリーマンの被扶養者であれば、本来、社会保険料は1円もかかりません

しかし、社会保険の被保険者となれば、月10万円の月収から、社会保険料が1.33万円天引きされます。

 

このことによって、将来受給できる厚生年金は、パートとして10年(20年)働いた場合、細かい説明は省きますが、5,500円/月(11,000円/月)程度です。

 

言い方を変えると、毎月13,300円(健康保険料込みですが)の保険料を20年間支払って、月額11,000円の厚生年金を20年間(65歳から85歳まで)受け取ったとしても元は取れません。元をとるためには、24年余りが必要です。

 

国民年金から基礎年金が別に支給されますが、これはサラリーマンの妻ならもともと保険料の支払いなしで受給できるお金ですから、ここでは考慮していません。

 

ただし、元は取れないがかなりの額が返ってくるという見方もできますから、一概に社会保険加入を否定することもできないでしょう。

 

それでもおそらく、サラリーマンの妻たるパート労働者の多くは、「できることなら、社会保険に入りたくない」と考えると思われます。確たる根拠はありませんが、……。

 

イ サラリーマンの配偶者以外の場合

サラリーマンの配偶者以外で、月額10万円程度でパート勤めをする人にはどんな人がいるでしょうか。
例えば、自営業者や社会保険非適用事業所に勤めるサラリーマンの配偶者、遺族厚生年金などを受給中の未亡人、定年退職した高齢者、親の扶養を受けている若年者などが考えられます。


これらの人の多くは、国民年金保険料(約1.5万円)、国民健康保険料の両方又は片方を支払っています。
月収10万円のパート労働者が支払う保険料(厚生年金保険料+健康保険料)は、約1.33万円と国民年金保険料よりも安く、しかも将来、厚生年金が受給できるため、多くの者が社会保険への加入に肯定的と考えられましょう。

 

定年退職者(国民年金保険料不要)の場合は、国民健康保険料の額にもよりますが、将来年金が受け取れることでもあり、おそらくは積極的な賛成も反対もないのではないでしょうか。

 

なお、賃金月額10万円(賞与:寸志程度)なら、定年退職者たるパート労働者の老齢厚生年金の支給停止額については、あまり問題にならないでしょう。

 

(3) 結  論

① 事業主の立場からは、社会保険への加入は大きな出費(賃金総額の13%強)となり、社会保険加入は負担となりましょう。

② パート労働者の多数を占めるサラリーマンの妻は、社会保険への加入を望まない者が少なくないと期待できるものの、社会保険加入を積極的に否定する理由にも乏しいと言えるのではないでしょうか。

③ その他のパート労働者は、社会保険加入に肯定的もしくは中立的態度を示す可能性が高いと思われます。

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