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労働基準法は、労働時間、休日、深夜業等について詳細な規定を設けています。
このことから、使用者は、労働時間を適正に把握するなど労働時間を適正に管理する義務を負うものと考えられております。
いわゆる残業時間等の把握は、始業時刻及び終業時刻を明確に把握することによりなされますが、残業時間の把握には通常困難が伴います。
残業時間の把握を困難にする要因は、概ね次のとおりです。
残業時間の適正な把握を困難にする要因 | |
1 経営側の要因 | 残業代を節減するため ① 残業時間に上限を設ける ② 残業する者を高く評価し、しない者を低く評価する ③ 始業・終業時刻の明確な把握要領を確立していない ④ 残業の基本ルールを明確にしていない |
2 管理職側の要因 | ① 部門の成績高揚のため、残業の管理特にその抑制には消極的である ② 残業する者を高く評価し、しない者を低く評価する ③ 無言の圧力などにより、適正な残業時間の申告を抑制する |
3 従業員側の要因 | ① 生活費補填のため、残業が習慣化している ② 低く評価されるのを嫌い、残業が習慣化している ③ 定時退社しにくい雰囲気があり、付き合い残業が習慣化している ④ 友人との待ち合わせなど時間調整のための滞留がある |
上記の「適正な残業時間の把握を困難にする要因」を克服して、適正な把握を行うためには、最小限次のとおり施策する必要があろうかと存じます。
適正な残業時間の把握ができるようにするための基本施策 |
① 残業に対する基本的考え方、残業の基本ルール、人事考課における残業の取り扱い等を明確にする。 ② 管理職の労務管理責任を明確にするとともに会社としての残業に対する基本姿勢・基本ルール、残業の具体的管理要領等を浸透させる。 ③ 従業員に会社としての残業の基本ルールや残業を行う場合の規律等を周知・徹底し、適正な残業管理特に残業時間の把握が適正に行えるようにするとともに、不要不急の残業を戒める。 |
上記基本施策は、会社の経営方針等に基づき、慎重に検討することが必要である。
ここでは、基本施策を具体化した就業規則の一例を提示して、そのイメージを明らかにしたい。
(時間外労働、休日労働及び深夜労働) 第○条 会社は、業務の都合により第○条の所定労働時間を超え、又は第○条の所定休日及び午後10時から午前5時までの深夜に勤務させることがある。この場合において、法定の労働時間を超え、又は法定の休日における勤務については、会社は従業員の過半数を代表する者と別に定める労使協定を締結し、当該協定の範囲内で時間外・休日労働を命ずるものとする。 2 前項の勤務を命ぜられた者は、正当な理由なくこれを拒むことはできない。 3 妊産婦たる従業員が請求した場合は、第1項に定める時間外、休日又は深夜に労働させることはない。また、変形労働時間制の適用対象者が請求した場合は、1週40時間、 1日8時間を超えて労働させることはない。 4 従業員が所定労働時間を超えて勤務をする場合は、所属長から勤務時間、業務内容等が明示された場合を除き、事前に事業所所定の申請書で所属長に申請を行い、許可を受けなければならない。ただし、やむを得ない事情がある場合に限り、事後承認も認めるものとする。 ……(以下略)……
(労働時間の適正な把握・管理) 第○条 労働時間の把握・管理は、原則としてタイムカードによるものとする。ただし、タイムカードによる管理が適正に行われていないと認められるときは、所属長の把握する時間とする。
(服務心得) 第○条 従業員は、次の各号に掲げる事項を遵守し、服務に精励しなければならない。 (1) 会社の許可を得ることなく、終業後職場その他の会社施設に滞留してはならない。 (2) 勤務に関する手続を怠り、又は偽りを行ってはならない。 ……(以下略)……
(管理職の心得) 第○条 管理職は、次の各号に掲げるを遵守し、服務に精励しなければならない。 (1) 勤務に関する手続を怠り、又は偽りを行ってはならない。 (2) 部下の勤務時間・勤務成績を適正に把握・評価しなければならない。 ※ 勤務時間の具他的把握要領や人事考課の要領等は、全員に開示すべき事項ではなく、就業規則への記述には馴染まない。 ……(以下略)…… |
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